ついに今日フランスでの生活が終わりました。
本当に様々なことがあった渡仏前、フランス在住中のすべてのことを今でもはっきりと想い出せます。。料理を始めた時から決めていたフランス修業。そして今年1月に決めた旅行でも良いから必ず学生のうちに1カ月以上フランスに住み文化を学ぶという目標を達成し、また初めて料理だけにこんなにも集中させてもらい、今までたくさんの方が伝えてくれていた言葉の真の意味を初めて理解できた3か月でもあった。22歳にもなると初めての経験が少なくなってきて、これほどに濃厚な時間を過ごすことも少なくなってきていた。そんな中でのこの研修は自分に新たな気づきと将来をより鮮明に見せてくれた。だからまずはこの環境に立つことを応援して下さり支えてくださった皆様に感謝申し上げます。
そして、どんな状況でもやり切った自分を今日だけは褒めてあげたい。今この文章をCDG空港で書いているのですが本当に思い出すだけで涙が出そうです。
ただの3か月だろ!と思うと思いますが、自分にとってはものすごく毎日が恐怖の3か月だったんです(笑)だから今日だけ自分をほめさせてください。
「よくやり切ったKikiまた目標に一歩近づいたな!そしてお前はもっとできる!頑張れよ」
突然決まったこのフランス修行。最初はこんなチャンスが本当にあるのか、渡仏した先でちゃんと働けるレストランはあるのか。本当にすべてが?だった。でもとりあえず行くしかないと心を決めて動き出した。終わった今だから全て話すが渡仏前お金にも時間にも余裕のなかった僕は本当に浅い考えをし、様々な方に迷惑をかけ、不快な思いをさせたと思います。
ここでの謝罪になりますが気分を害してしまった方々誠に申し訳ございませんでした。
そしてフランスに渡ってからは初日から本当に様々なことに見舞われました。
準備していたesimが使えないという事実、予定していたバスが全く見つからず空港を2時間歩き回ったこと、そしてやっと電車に乗れたかと思えば…この先はまた笑い話をしているときにでも聞いてください。崩れ落ちますよ(笑)
そして何とかついたレストラン。緊張しすぎてシェフと握手する時手汗がすごくて凄く拭いて握手したのを覚えてます。その頃は本当に何も聞き取れなくて何もしゃべれなかった。
そして翌日から仕事が始まるとそれは期待していたガストロノミーの厨房ではなかった。
ビストロでの仕事。ルームメイトは18歳なのにガストロノミーで働いている。
なのに自分はビストロの仕事もろくにできず言葉もしゃべれない、そんな自分が悔しくて、悔しくて仕方がなかった。働き出して3日目で冷蔵庫を壊し、5日目にはお皿を割った。
やらかしすぎて、毎日自分の無能さが仕事のできない自分が恥ずかしくて仕方がなかった。
でもそんな中でも時間は一定に過ぎてゆく。だからまずは自分は何ができてなくて何ができているのかということをまとめた。その結果、言葉が分からないからメニューが分かっていないから1日のやることをわかっていないから常に遅れた仕事をしていると気が付きました。そして自分学ぼうとしてばかりで何も先輩や仲間にサービスを提供できていないということも発見しました。なのでそれからはメニューを前日に説明してもらい、やるべきことをまとめ、昼の営業が終わるとその日の料理を簡易的にデッサンして夜の営業に向けて準備をしました。このデッサンをすることにより、食材名、調理方法などのフランス語を覚えていくことができました。結果料理に必要な食材、組み合わせ、言葉などを覚えることができ、以前よりスムーズに仕事ができるようになりました。
そして僕がもう一つ力を入れたのが与えるということ。そこでよく考えました。今の自分が与えられることって何だろうと。技術?いやそんなものはまだない。今与えることができるのは自分の時間しかないと気づきました。それまでの自分はみんなと同じ時間に出勤し、同じように働く。しかしそれに気づいてからは今までより30分前に出勤し、まな板、お皿、道具、飲み物を準備した。そして1日の流れを確認して仲間が来たら自分の計画を答え合わせしていくようにした。まず全ての準備をしていることにより、一歩ずつ自分の価値を上げていくことができた。先輩や仲間にとってはめんどくさいことをしてくれるやつと認識していってもらえたと思う。そうすると必然的に違う仕事も任してもらえるように、JAPANISE BEST と言ってもらえるようになった。出国前にバイト先である中国菜 有道理 オーナーシェフの竹田さんがこのような言葉をくれた「皆が休んでいる間に働きなさい」
自分が時間を提供するという考えになったのはこの言葉を思い出したからである。
この言葉が何もできず、毎日足手まといでしかなかった自分を助けてくれた。感謝します。
そんな中突然自分が人に指示を出す側になった。仕事を覚えてきたところであり、できるようになったと思っていた。しかしそんな伸びた鼻を折られた。それは全くリーダーとしての仕事ができなかったということ。指示を出し、ミスをカバーして、常に一定したものを作り出す。それができなかった。なぜなら自分で精一杯だったから人のミスを許せなかった。
なぜそうしないんだ、なぜ、俺が言ったとおりにしてくれ。そうすればすべてうまくいくんだと本当に自分で一杯だったから、人の考えやミスを享受したり、カバーする余白が一切なかった。それに気づき自分はまだまだと思うのと同時に今働いているのはビストロだぞ。そこで天狗になっている。目指しているのはガストロノミーで働くことだろと現状に満足してしまっていることに気が付いた。
そこからもう一度意識の変革に取り組んだ。語学、仕事の仕方、アプローチの仕方、ガストロノミーで働くためにより価値を提供できる人間になろうと思った。結果は有難いことに最後の1か月をガストロノミーで働くことができた。ミシュラン1つ星のレストランで働くことができた。しかしガストロノミーに来たら、技術のなさをもっと痛感した。包丁の扱い方、ポムスフレを作れなかったり、スライスできなかったり、まだまだなんだなとちゃんと体験できた。だからよかったと思う。MOFという高い技術者だけがもらえる資格をもったシェフの下で仕事ができ気づいたのはまだまだということと、かっこいいシェフを見れた。また一人あこがれのシェフができ、目標ができた。
実は今回自分がガストロノミーで働けたのは日本人コックの立石耕三さんの力であると思う。立石さんが自分をシェフに推薦してくれた。そして言葉が分からない中、全てを説明してくれた。ミスをした時にはアフターフォローまでしていただいた。この方が居なかったらきっと自分はできていないだろうなと思う。
本当に自分は出会う人皆さんに助けてもらっている。今回のフランス修行ではよりそれを感じた。だからこれから8年間はとりあえず走り抜ける。どんな壁が立ちはだかろうと自分がきめた目標を達成する。それがきっと今まで支え応援して下さる方に唯一の恩返しだと思うから。
この3か月のフランス生活は1人の時間が多く、将来について深く考えることができ、それの判断材料も毎日よく見つかった。最初にも述べたがこれほどに良き体験をできる環境に生きれていることに感謝いたします。またこれからもより一層謙虚に研鑽していくことを誓います。まだまだ皆さんに迷惑をかけることがあると思いますが、必ず料理で人に感動と幸せを与えられる人間、料理人になりますのでどうぞよろしくお願いいたします。
これを持ちましてブログ フランス章を終了と致します。
ありがとうございました。