人生初三ツ星レストラン Maison PIC

フランス ヴァランスにある三ツ星レストラン 「pic」に行ってきた。

実は今まで星付きのレストランに食べに行ったことがないという事実を発見してしまった。

三ツ星を目指しているのにその世界を全く知らなかったのである。

だから今回は三ツ星がどのようなレベルなのかそれを体験しに行ってきた。

Picはホテル、ガストロノミーレストラン、ビストロを経営している。

そして現在は三代目である。三代目オーナーシェフはフランスで女性シェフとして53年ぶりに三ツ星を獲得した。名前はアンヌ・ソフィー・ピック。

そんなシェフが作る料理や空間は細部まで気配りがされており、繊細でエレガントな空間と料理であった。

それでは体験談を話していこうと思う。

まずお店に入るとそこには広いロビーがあり、受付のスタッフの方が案内してくれる。

どれだけ長いのかと思うような廊下にはたくさんの現代アートや、これまでの歴史を見ることができるものがある。その廊下を一歩一歩歩くたびに心は踊り、非日常空間に導かれる。

やはりお金を生まないこの余白のスペースはレストランには必要なものだと感じる。

そして席に着き、一番最初に驚いたのはサービスマンの人数だ。

その日は20名ほどに対して、10名ほどのサービスマンが居た

そしてサービスマンのレベルの高さにも驚く点はたくさんあった。

動きに無駄はなく、お客さんとの絶妙な距離感、歩き方、立ち方、どれをとっても美しかった。純粋にサービスマンのことをかっこいいと思った。

料理が出てくるまでにこれがプロの仕事でこれがサービス業の最高峰かと感じる。

この日、ワインは3杯頂いた。初めにロゼのシャンパン。ピノノワール100%の物で一口飲むとそれは驚き。フロマージュの香りに赤い果実の香りが脳にやってくる。なんて美味しいんだと感動。そしてマコンヴィラージュ、最後はシラーで占めた。

料理は合計7品

アミューズが三品

スモークサーモンのムースのタルト、八朔のような柑橘と頂く。ムースの中にはアボカドのクリームが、塩味と香りのバランスが良い。次に海藻のタルト。生地はクランブルのようにほろりとなくなり、青のりの香り、昆布の旨味がやってくる。最後はフロマージュとハーブのパートフィロのタルト。パリパリの食感から風味豊かなブルーチーズの香りが口内に広がる。

アミューズだけでもその繊細さとクオリティの高さを味わえる。すべてが最適な温度と最適な食感である。

次にアントレ一品目 牡蠣の一皿 海の香りと共に

お皿の構造は生の牡蠣に海水のシート、海水の泡のソース、コルニッション、ケッパーの葉

これほどシンプルな一皿のため最初のお皿としての仕事をちゃんとしてくれます。

味蕾を活発にさせるための絶妙なバランスで構成された五味。

これを食べ終わる時には感覚は研ぎ澄まされ、ガストロノミーの世界に引き込まれています。そしてアントレ二品目。スペシャリテでもあるディルとフェンネルのスープ 抹茶のラビオリの中にバノンチーズと呼ばれる山羊のチーズを柿の葉っぱで巻いて熟成させたもののソースが入っているお皿。

これがすごい。まず温度感。ラビオリの生地は最適な温度で加熱が止められているのに中のクリームは暖かい。そしてスープは香りが広がる温度帯である35~45℃くらいでいる。そしてすべてを一緒に食べたときの味のバランス感には感無量である。

旨味、爽やかさ、甘み、フレッシュ感と熟成感。素晴らしい一皿であった。

次はメインのお料理

今回は子羊にした。子羊のロティ―とアーティチョーク、黒ニンニクのピューレ

肉の火入れに関してはもうなにも言わなくても良いだろう。繊維をしっかり広げたお肉は素材の最大限のポテンシャルを出している。

ソースはJes de agnion これがもう美味しい。しかしそれでけではもう一つパンチが足りない、そこに黒ニンニクのピューレを付けるとこれが本当に美味しい。

そしてガロニチュールのアーティチョーク。パートフィロでアーティチョークの葉っぱを作りその中にアーティチョーク、そしてその中にミントとアーティチョークのピューレが入っている。これがシンプルなのだが本当に美味しい。

そしてもう一つ小皿でガロニチュールが提供される。こちらはアーティチョークのピューレで創った生地の中に子羊のカイエットが入っている。旨い。

インパクトがありながらも味を単調にさせない工夫があり最後まで楽しめる一皿である。

そして次はブリチーズとブリオッシュの一皿。

子のお皿の構造は香ばしく焼き上げたブリオッシュ、しっかり旨味のあるブリチーズ、そのぶりチーズを使ったムースである。ムースは中にバニラアイス、外にはパウダー、そして最後にドライのぶりチーズを目の前でスライスしてくれる。このお皿もまたバランスの良さが目立つ。甘みと塩味、熟成の香りがしすぎないように油脂分のおおいブリオッシュ、ムースを取り入れるなど、食べてて疲れないのである。

そして最後にデザートである。

デザートは四種類から選べるが今回はショコラとエストラゴンのデザートにした。

これが本当に驚かせてくる。

皿のすべての素材にショコラが入っている。これだけでくどいデザートのように思えるが実際食べてみると手がどんどん進むのである。

構成要素はパリパリのショコラ、エストラゴン風味のショコラ、ブラックショコラ、ホワイトショコラ、ミルクショコラである。

これを一つずつ食べるやはりくどい。しかしすべての要素を一度に口に入れると甘み、コクそしてそれに対する酸味、爽やかな香りとパリパリの食感がくどさを失くしてくれるのである。

全てを食べ終わり、さいしょに感じたのは全てのタイミング、塩梅、バランスがベストであるということを一番最初に感じた。サービスの瞬間、温度、欲しい味、それが自分が欲しい時に来るのである。だから最後までワクワクさせてくれた。

そして、もう一つはストーリー性を感じさせることができる料理だったということ。

きっと今回の大きなテーマは二つ。

一つは夏の爽やかさ。二つ目は自然と素材の香り。

この二つを何も言わずに食している人に伝えることができる。お料理だけでそれを伝えることができ、そしてその感覚を研ぎ澄まさすための空間づくりが完ぺきであったということ。今回の体験は自分にとってものすごく価値のあるものになった。

これからも体験と学びに投資していこうと思う。凄く長くなったが最後まで読んで頂きありがとうございました。  

Merci beaucoup Maison PIC

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